円形脱毛症

円形脱毛症は類円形の脱毛斑ができる疾患です。脱毛症状は頭部が多いですが、毛髪が存在するあらゆる部位に発生し、汎発型は頭部に加えて体毛全ての毛が抜けるタイプです。

いくつかのタイプに分類されています。

1.通常型:単発型・多発型

2.全頭型:脱毛が全頭部に拡大するもの

3.汎発型:脱毛が全身に拡大するもの

4.蛇行型:頭髪の生え際が蛇行性に脱毛するもの

 

円形脱毛症では毛包周囲にリンパ球を主とする細胞が集まり 、脱毛病変部ではIFN-γやIL-15の産生が増加していることから、CD8 陽性の傷害性T細胞による、毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられます。

原因については諸説あり、 免疫に関わる分子の遺伝的背景のもと、疲労や感染症など肉体的、精神的ストレスが引き金とされていますが、実際には明らかな誘因がないことも多いです。 

 

<合併症>

一部の症例で甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、糖尿病などの自己免疫性疾患の合併が起こることが知られています。またアトピー性皮膚炎とは高頻度に合併しており、円形脱毛症の発症にアトピー素因が関与する可能性があります。

 

<治療>

外用、内服、光線治療、局所免疫療法などがあります。

外用療法

ステロイド外用剤、カルプロニウム塩化物の外用療法が主な治療です。ステロイドは毛包に対する免疫反応を抑制する効果があり、またカルプロニウム塩化物は局所の血管拡張作用があり、毛包周囲の血流を改善し、発毛を促進する効果が認められています。

内服療法

セファランチン、グリチルリチンの内服を行います。セファランチンには循環改善作用、グリチルリチンには免疫調整作用などがあり、経験的に円形脱毛症に対して有用であるとされています。

また、アトピー性皮膚炎との合併もあることから、抗アレルギー剤の内服についても行われる場合があります。

急速に進行する場合にステロイドの内服療法が行われる場合がありますが、中止後に再発する場合があります。ステロイド内服に伴う副作用が問題となるため、長期内服にならないように注意が必要となります。

冷凍凝固療法

液体窒素などで寒冷刺激を与えることで、発毛が誘導されるとされています。とくに大きな副作用もない治療です。

紫外線療法

エキシマライト(308nm)およびナローバンドUVB(311nm)による紫外線療法が円形脱毛症に対して有効であることが示されています。週1回程度の照射を行う必要があります。

局所免疫療法

特殊な薬品(SADBE、DPCPなど)で脱毛部にかぶれ(接触皮膚炎)を起こさせ、その薬品を繰り返し外用することで発毛を誘導する治療です。1-2週間に1回程度の外用治療を行うことが多いです。

この治療は十分な有効性が示されていますが、かぶれの症状に伴うかゆみ、リンパ節腫脹、外用部位を超えたアレルギー反応、色素沈着・脱失、アトピー性皮膚炎がある場合はその症状の悪化などの副作用に対しては十分な注意が必要となります。

日本では保険適用外のため、自費での治療となります。

 

<経過について>

アトピー性皮膚炎や内分泌疾患などがなく、脱毛斑の持続期間が1年以内で脱毛斑の数が少ない場合、約80%の患者さんでは1年以内に毛髪が回復するとされています。一方でその一部では再発する場合もあり、脱毛の範囲が広いほど回復率が低下することが報告されています。しかし急速に拡大しても1年程度で回復する例もあることから、症状の予測についてはさらなる調査が必要とされています。

 

当院では外用、内服治療をベースとして、患者さんの症状や経過、通院のご都合などを考慮して、その他の治療を選択しております。